バッテリーストロボで日中シンクロ モデル撮影
小さな島に点在する「グスク」と呼ばれる城跡。琉球王国よりも前の時代に建設された、世界遺産群に登録されている沖縄の名所です。沖縄本島中部にある「勝連城跡(かつれんじょうせき・あと)」は前撮りでも人気のスポット。ですが、そびえ立つ城壁により、時間や撮影場所によっては光線状態に悩まされることも多くありました。
カタログ作例用にロケ地を訪れたのは、日が下がってきた午後の遅い時間帯。美しい城壁を背負う場所を撮影ポイントに決めました。雲の隙間から時折差し込む太陽光によって、明暗の差が激しい状況です。人物に露出を合わせれば背景がオーバーになり、立体感も失われてしまいます。観光の方がひっきりなしに往来するので背景処理にも悩むところでした。
そこで、バッテリーストロボを使った日中シンクロで問題を解消したいと思います。
- <撮影のポイント>
- 背景の雰囲気を残し、被写体をくっきり印象的に!
- 観光スポットなので、往来の背景処理に要注意!撮影許諾、マナーは当然。
- 自然光とのバランスを取りやすいストロボで、ハイスピードシンクロを実践!
- シャッタースピード(SS):1/2500秒
- 絞り(f):f/2.8
- 感度(ISO):ISO100
- ホワイトバランス(WB):自動(現像時6300K)
- 焦点距離:50mm
使用機材
ストロボ:MARS-3 JINBEI 250W/S TTL/HSS ポータブルバッテリーストロボ
「小型軽量」「ハイスピードシンクロ可能」な点を重視して選びました。持ち運びが楽で足元が悪く勾配のあるロケ地では効果抜群です。ヘッドを振り回しやすいゼネタイプなので、設置や保持に大きな力がいらずライティングにも幅が出ます。光量は250W/sとフラッグシップモデルのHD-610には及びませんが、ハイスピードシンクロ時の実行光量も十分。アクセサリを使用しても実用的な光量を得ることが出来ました。
アクセサリ:EOB-60 ストロボDIIシリーズ/MARS-3用 イージーオクタゴンボックス
シリーズ初めてワンタッチ折畳み構造を採用したアクセサリなので、運搬や組立撤収が簡単でロケにはぴったりです。小型で発光面は小さいですがオクタゴンボックスならではのソフトな光質で、上半身~バストアップを狙うには必要十分でした。
撮影セッティング
被写体に上記写真Aのストロボ光を当てることで露出差を解消しながら被写体をくっきりさせる事を目指しました。城壁との距離が十分にあったので、画角・絞りで背景がボケるように処理します。更に絞って城壁のディテールを写したかったのですが、観光客の往来タイミング等で力及ばす。高速シャッターで露光量を落とし、ハイスピードシンクロの性能に頼りました。
- <撮影のポイント>
- カメラとモデルの位置を決め、必要な画角、絞りを選択します。(※1)
- 背景が好みの露出になるようにシャッタースピードを調整します。
- ストロボ1式を準備して、いい感じに照らします。(※2)
- ハイスピードシンクロは光量ロスが多いため、ほぼフル発光(※3)
- モデルさんの顔に不要な影が出ないよう、ストロボの反対側に顔を向けないよう依頼。欲しい画や表情を優先する場合はストロボの位置を変更します。
- 太陽光を背中側に当ててエッジライト的な効果も。
※1 MARS3のハイスピードシンクロ性能を最大限に発揮するため、絞りは開けました
※2 被写体からカメラを見た時、10〜11時の方向から照射
※3 本体負荷が高いため、連発すると保護回路が働き発光しなくなることもあります。(オーバーヒート手前の状態)
まとめ
- 結果的に、悠久の時を重ねてきた史跡と彼方を見つめる女性を対比させ、歴史の奥行きを感じる表現になったかなと思います。後乗せサクサクですが。カタログ構成有りきで撮ったということは内密にどうか。
- 軽量かつ光量もしっかりあるので、ワンマンロケでも活躍するライティングです。屋外ロケでは風の影響が無視できません。やはり安全の為には補助してくれる人がほしい所です。
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